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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)


思いも寄らない質問に、コップを掴む手が止まった。




「………一ヶ月くらい前」




この場が静かなせいか、トクントクンと自分の心臓の音がうるさい。





「最近なんだね」



「………」



「………そんなにすぐ、エッチしちゃダメだよ」





突然の言葉に、飲んでいた水が変なところに入ってむせた。




「…っ……何だよ突然…っ」




「女の子は……それで愛情計ってるんだよ」




笑ってもいないし、怒ってもいない。



どういう意図で発された言葉なのか分からなくて、俺は姉ちゃんから目をそらした。




「……知らねぇよそんなの」



「………」



「自分は簡単に身体許すくせに、俺には説教かよっ…」




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