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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)



やかんを掴んで、マグカップにお湯を注ぐ。



姉ちゃんは俺の言葉を聞くと、動きを止めて、そのやかんを掴んだままキッチンの台に置いた。




「……友也っ…」





伸びた白い腕。



そして歪んだ姉ちゃんの顔。




「うっせぇなっ…触んな!」




むしゃくしゃして、思わずその手を強く払いのけた。




「きゃっ……」



「っ……ねえちゃん!」





ひっくり返ったやかん。



腕に振りかかった熱湯…





やかんは大きな音を立てて床に落ちた。






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