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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)
「あついっ……」
顔を歪ませている姉ちゃんの姿に、動揺したまま、俺はその腕を掴んだ。
そして、すぐさま流しの蛇口を捻って、そのやけどの跡に水を掛けた。
「いっ……」
「ごめんっ…」
余程痛いのか、顔を歪ませたままの姉ちゃんに不安が募って完全にパニックになっていた。
「ごめんっ……」
「っ…──」
「姉ちゃんっ……」
思わず泣きそうになっていると、姉ちゃんは目を瞑ったまま顔を横に振った。
「大丈夫…」
「でもっ……」
「……友也のせいじゃないから」
「っ…………」
「……久々に…“姉ちゃん”って呼んでくれたね……」
その言葉に目を開くと、姉ちゃんは涙目のまま昔と同じように優しく微笑んだ。