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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)
しばらくそのやけどの跡を流水で冷やすと、俺は救急箱を探し出した。
リビングのソファーに腰掛ける姉ちゃん。
触れたのはいつぶりだろうか…
こんな時でさえ、そんなことを考えながら、俺は慣れない手つきで手当をしていた。
「痛い…?」
ソファーの前にしゃがみ込んで、彼女の顔を見上げる。
うんん…と言いながら、姉ちゃんは微笑んだ。
白くて細い腕。
痛々しいやけど跡。
それを覆い隠すように包帯を巻く。
「跡…残るかな……」
「どうだろ…」
呑気な声の調子の姉ちゃんに、俺はため息をついた。