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愛しい記憶
第9章 初恋(回顧)
「母さんに怒られそう」
「なんで…?」
首を傾げる姉ちゃんを見上げる。
「お嫁にいけないじゃないって…言いそうだな、と思って」
アハハと笑った姉ちゃんの表情に釘付けになった。
あぁ……
やっぱり…どうしようもなく胸が騒ぐ。
「確かに…言いそう!」
「…………」
巻き終わった包帯の上に、優しく手を乗せると、姉ちゃんがその上から手を重ねた。
温かいその手…
いつまでだって触れていたい。
「じゃあ…」
「───…」
「そうなったら、友也がもらってよ……」
屈託のない笑み。
胸が苦しくて、俺は思わず姉ちゃんの頰に手を伸ばした。