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愛しい記憶
第10章 愛堕(回顧)
「なんで」
「……そりゃあ、もう大人だし……。メイクはマナーなのよ」
「ふーん…」
適当に言葉を返して、その動きを阻むようにギュッと抱きしめる力を強める。
「………ともや?」
「そのままで十分だよ……」
正直な気持ちを伝えると、姉ちゃんはしばらく固まって、鏡越しに俺のことを見ていた。
「ありがと…」
化粧道具を置いて、片手で頭を撫でられて、目線を逸らす。
たまらなく幸せなのに、どこからともなく切なさが漂う。
「っ……とっ────」
堪えきれずに、俺は姉ちゃんの顎を掴んで唇を塞いだ。