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愛しい記憶
第3章 亡霊
「楓(かえで)ちゃん、相変わらずかわいいね」
「かえで……」
「名前、忘れちゃったの?」
狂うように抱いた先ほどの女の顔が浮かんだ。
あいつの名前…
あぁそうか、あいつは楓だ。
しゃがみこむ俺の前で、マミは体育座りをして見つめている。
あまりに露出された肌に、無情にもそそられている自分の体が憎らしい。
「友也……」
名前を囁かれて、また頭を抱えた。
自分の名前は名乗っていないはず。
いや、名乗ったのだろうか……?
こんな短時間のことすら、自分は忘れてしまったのだろうか──
「なんなんだよっ…」
分からない。
何もかも。
全部。