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愛しい記憶
第6章 水
「はい」
「………あっ…友也…」
ふわりと女の香りが鼻を掠めた。
茶色い長い髪がサイドに束ねられている。
何か買ってきたのか、あのときと同じようにビニール袋を手に、楓が玄関先に立っていた。
「もしかして…今起きた…?」
「……あーうん…」
「ごめん…」
「いや…」
気まずい雰囲気が流れて、会話が止まる。
何か言わなきゃいけないと思って、えっと…と言葉を発した。
「どうかした…?」
俺の言葉を聞いて、目を見開いた楓は、そのまま俯いた。
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