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愛しい記憶
第6章 水
「今日……」
「………」
「家に行くって…約束だったから……」
あー…と声を漏らして、額を掻いた。
確か、昨日そんなことを言っていたが、すっかり頭から抜け落ちていた。
「もしかして、忘れてた…?」
今にも泣き出しそうに、目に涙が溜まっている。
「いや……」
適当に答えると楓は察しているのかいないのかよく分からない反応をして、そっか、と言った。
「入っていもいい…?」
「………」
「今日何もないんだよね…?荷解き、手伝うよ」
身体をずらして、部屋の奥を見ている。きっとまだカーテンが掛かってないのを見ているのだろう。