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愛しい記憶
第6章 水
えっ…と声を上げた楓に向き直る。
「でもっ……昨日っ…」
「ホントにごめん」
扉のノブに手をかけると、楓が小刻みに震えているのが分かった。
彼女にこんな顔をさせて、どうして俺は平気なのだろうか…
でもそれよりも、マミの不安そうな顔の方が胸をかき乱して仕方が無い。
最低だと分かっていて、そうすることしか出来ない自分に怖さすら感じる。
「……分かった」
「…………」
「じゃあまた、学校で…」
「うん……」
作られた笑顔を確認して、俺は玄関の扉を閉めた。