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愛しい記憶
第8章 記憶
はぁと息を吐いた俺は、あまりの頭痛に水を入れたばかりのやかんを床に落とした。
あの時と同じ、やかんが落ちる大きな音。
記憶とシンクロしたマミの言葉。
体内の時計がゆっくりと逆に回る。
震えが止まらなくなって、自分の身体を強く抱きしめると、やはり透けて見えないマミの足元が視界に入った。
「……思い出さなくていいの」
「マ…ミ…───…」
「私はマミで、あなたは友也……」
とん…と頭に乗せられた手の平。
「友也は“あの時”このままでいいって言ってくれたけど…」
「っ…─────」
「こういう世界もいいじゃない────…」