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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白

十市が突然姿を消し、紳一郎はすっかり変わってしまった。
当初は執事や他の使用人に十市の行方を詰問していた紳一郎だったが、次第に行方が杳として知れぬことと、自分が弄ばれ、捨てられたのではないかと思い至ってからは、一言も十市の名を口にすることはなくなった。
表面上は相変わらず聞き分けの良い優等生であったが、それは上辺だけの作られた紳一郎であった。
傷つき、それを隠して優等生を演じる紳一郎に、公彦は痛ましさの余り、何度も本当のことを告げようかと迷った。
だが、真実を知れば誰よりも苦しむのは紳一郎なのだ。
異母兄弟と身体の関係を持ったと知れば、どれだけショックを受けるだろうか。
…だから公彦は心を鬼にして、見て見ぬ振りをした。
そして、紳一郎が1日も早く十市のことを忘れることだけを、祈り続けていたのだった。
当初は執事や他の使用人に十市の行方を詰問していた紳一郎だったが、次第に行方が杳として知れぬことと、自分が弄ばれ、捨てられたのではないかと思い至ってからは、一言も十市の名を口にすることはなくなった。
表面上は相変わらず聞き分けの良い優等生であったが、それは上辺だけの作られた紳一郎であった。
傷つき、それを隠して優等生を演じる紳一郎に、公彦は痛ましさの余り、何度も本当のことを告げようかと迷った。
だが、真実を知れば誰よりも苦しむのは紳一郎なのだ。
異母兄弟と身体の関係を持ったと知れば、どれだけショックを受けるだろうか。
…だから公彦は心を鬼にして、見て見ぬ振りをした。
そして、紳一郎が1日も早く十市のことを忘れることだけを、祈り続けていたのだった。

