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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白
公彦は目の前の息子を見つめる。
…あれから三年経った…。

紳一郎はまた十市と巡り会ったようだ。
そして、彼を愛していると告白したのだ。
明らかに艶めいた白い貌…、切れ長の美しい瞳はしっとりと潤み、頬はうっすらと薔薇色に染まっている。
形の良い唇はほんのりと紅い。

…息子の情事を想像するのはまさに下衆だが…恐らくは、十市と愛を交わしたのだろう。
やはり苦々しい想いを抱かずにはいられない。
…例え愛し合っているのだとしても…。

公彦は、紳一郎にどうしても伝えなくてはならないことがあった。
このことを伝えるには、それ以前の…出来れば口にしたくはなかった重い事実を伝えなくてはならない。

「…紳一郎。…お前に告白しなくてはならないことがある…」
苦渋に満ちた表情で口を開くと、紳一郎が先に尋ねた。
「…もしかして、僕が父様の子どもではないということ…?」
「紳一郎…!お前…!」
絶句する公彦に、紳一郎は遠慮勝ちに頷いた。
「…三年前に…お祖母様から聴かされた…。父様が実の父親ではない…と。
それから…僕の父親が十市の父親だってことも…」
公彦は額に手を当て、唸るように呟いた。
「なんてことを…!まだ少年のお前に…!」
あの魔女のような高級娼婦のような…あの蕗子ならやりそうなことだ。
「…でも…僕はお祖母様に聴かされる前から父様が僕の本当の父親ではないことは気づいていました」
「紳一郎…!」
「…お茶会や夜会で、母様はいつもゴシップの女王様ですからね。そのまま僕の出生の秘密も耳には入りました。でも、父親はきっと遊び人の貴族の男や富裕な資産家では…という噂でしたが…」
「…そうか…」
「父様は僕をとても可愛がってくださったけれど、どこか他人行儀で気を遣われているのが分かったから…そうなのかな…と」
気遣わしげな…どこか寂しげな微笑みを浮かべる紳一郎に公彦の胸はずきりと痛む。
「すまない。紳一郎…。私達大人が歪んだ結婚をしてしまったために、お前に最初から重荷を背負わせてしまった」
公彦は蘭子との結婚の経緯を話した。
…森番の子どもを身籠った蘭子の社会的体裁を整える為の結婚だったこと。
…そして自分も…実家と幼い弟妹を守る為の打算のみの結婚だったことを…。
詫びる公彦に紳一郎は首を振る。
「謝らないで、父様。僕は父様が僕をとても大切にして下さっていることを知っていました…」
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