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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白
書斎の扉が遠慮勝ちにノックされる。
誰が訪ねてきたのかはもう分かっていた。
「入りたまえ」
公彦が声をかけると、その男…十市は大きな身体を屈めるように部屋に入って来た。

大きくがっしりした頑丈な体躯。なのに野暮ったい印象を受けないのは、長い手脚やしなやかな野生動物のような無駄のない身のこなしゆえだろう。
公彦は十市をじっと見つめた。

長く黒い艶やかな緩い巻き毛を後ろで黒い革紐で纏め、白いシャツに濃灰色のネクタイを結び、黒いスーツという改まった服装をしている。
長身で逞しく均整のとれた身体つきなので、きちんとした服装をすると、この屋敷のどの従者や下僕よりも、堂々たる品位さえ感じる美しい姿を現していた。
ギリシャ彫刻のように彫りの深く物語的美貌には静かな黒豹のような野性味が漂い、辺りを払うような威厳すら感じられた。
闇色の黒い瞳は陽の光が差し込み、部屋の中ではややアメジスト色に輝くのだと公彦は初めて気がついた。

公彦は、紳一郎が十市に惹かれた理由がどことなく分かったような気がした。
日本人にはないエキゾチックな美と美しい獣めいた性的魅力を秘めた男…。
紳一郎は十市に父性のみならず、性的な魅力を覚えたのだろう。
彼を雇用している間も、屋敷のメイド達や…果ては狩猟で訪れる貴婦人や未亡人達はこぞって彼に色目を使っていた。
…公彦は紳一郎と彼が同衾しているのを見て、てっきり十市が紳一郎を手篭めにしたと勘違いし激怒したのだが、実際はそんなことはなかったのだろう。


公彦は十市の美しいアレキサンドライトのような瞳を見つめながら口を開いた。
「まずは君に謝らなくてはならない。…三年前、君が紳一郎の身体を無理やり奪ったと勘違いし、君を殴ってしまった。許してほしい」
きちんと頭を下げる主人に、十市は慌てる。
「旦那様…」
「そして、君を誤解から解雇したことも詫びる。申し訳なかった」
「いいんです。…紳一郎様を抱いたことは事実です。俺はしてはならないことをしたんです」
公彦は十市に椅子に掛けるように勧める。

「…人払いをしたので、暫くは誰もここには近寄らない」
下僕が用意していったティーポットから熱いダージリンを茶器に注ぎながらゆっくりと話し始める。

「…紳一郎から君を再び森番として雇ってほしいと頼まれた。君の希望はどうだね?」






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