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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白
「5年ぶりか?久しぶりの日本はどうだ?」
リースリングの白ワインで乾杯を済ますと、公彦が尋ねる。
「やはり故郷は落ち着くな。東京も格段の進歩を遂げているし…実にエネルギッシュで興味深いよ」
優雅な所作で前菜の平貝と蛸のカルパッチョを口に運ぶ青山に、公彦はさり気なく尋ねた。
「住まいはずっとここに?」
「ああ。…兄貴は仮住まいでもいいから帰ってこいというがね。子どもたちも可愛いけれど…なにしろ5人だ。毎日が戦争のような騒がしさだよ。いやはや兄夫婦には頭が下がる」
屈託無く笑う青山に一緒に笑って見せ、口を開いた。
「…しかし毎日ホテル暮らしでは不自由だろう」
青山は肩を竦める。
「いや、別に。ここはサービスも行き届いているしね。
ビジネスの打ち合わせもし易いし、帝劇やオペラハウスが近いから…デートにも便利だ」
色っぽい眼で笑う。
「…君は今、恋人はいるのか?」
「残念ながらフリーだよ。昨年パリで別れて以来寂しい独り身だ」
言葉ほどは堪えていないような余裕に満ちた笑みを浮かべ、両手を広げて見せる。
「…そうか。…青山、良かったら私の家に滞在しないか?」
青山は凛々しい眉を上げる。
「君の家に?」
「ああ。…知っての通り、我が家は妻が滅多に寄り付かない。私は仕事が忙しくて週に一度か二度帰れれば良い方だ。…17歳の息子が独りきりなのだ。
青山さえ良ければ、日本にいる間我が家に滞在してもらって、息子にパリの話や美術の話をしてやってくれないか?それに君の乗馬の腕はピカ一だ。
息子にも是非教授してほしい」
青山はナプキンで唇を拭い、ワインを一口飲んだ。
そしてその精悍な瞳を眇め、ゆっくりと尋ねた。
「…鷹司。…何を企んでいる…?」
公彦は慌てて首を振る。
「企んでなど…。私はただ息子に、大人の教養や知識を教えて欲しいと思って…」

青山は面白そうに眉を上げ、頬杖を着いた。
「…君は私がゲイだということを承知しているね」
「もちろんだ。…昔からよく知っているよ」
「…その君がわざわざこの私を屋敷に招き、尚且つ噂では大変な美青年だという君の息子を…血は繋がっていないらしいが…彼と私を接近させようとするのか…?
…これは穏やかな話ではないな」

公彦は青山の笑ってはいるが、はぐらかしなど到底許さない強い光を認め小さく溜息を吐いた。
「…分かったよ、青山。全てを君に話そう…」

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