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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白
公彦は紳一郎と十市の恋愛の顛末を最初から最後まで話した。

…十市の父親のこと、本人のこと、失踪した十市を紳一郎が探し出し、愛していると公彦に告白したこと。
…そしてその熱意に負けて十市を再び森番として雇い入れたこと…。
その間、青山は一言も口を挟まずに真摯に話を聞いてくれたのが有り難かった。

「…私は紳一郎が十市と愛し合うことがどうしてもあの子の幸せになると思えないのだよ。
十市と紳一郎は身分違いという大きな壁がある。
しかも同性同士だ。
紳一郎は鷹司の家の後継者だ。この家を継いだのち、森番の十市とどうやって愛しあってゆくというのか…。
もし露見したら、あっという間に好奇と非難の眼に晒される。
また、十市は外国人だ。
…世の中はどんどん軍靴の音がけたたましくなってゆく。日本に住む外国人の彼には様々な困難が待ち受けることだろう。
そうなれば紳一郎も一緒に険しい道を歩まなくてはならない。私は紳一郎を不幸にしたくない。
。私は紳一郎が可愛い。我が子ではないが、我が子同然に思ってきた。その彼には…せめて危険のない安心の出来る相手を選んで欲しいのだ」

青山がワインを飲み干す。
「…その相手が私だというのか?」
「…青山…」

青山史郎が同性愛者だということは学生時代から知っていた。
彼は自分の性的嗜好を隠さなかった。
幼少期に父親の教育方針から英国に渡り、パブリックスクールのウィンチェスター校で過ごした彼は、全てに於いて自由闊達だった。
彼の側には常に眼を惹く美しい青年が侍り、華やかな恋愛模様を展開していた。
彼の恋人達は彼に選ばれた選りすぐりの美と教養と知性と色香を持っていた。
その嗜好はなくとも少しでも青山に気に入られたということは青年達の勲章のようになり、見目麗しい青年達は先を争うように彼の周りに群がっていた。
同性愛に偏見を持たなかったのは青山の影響でもあるのだ。

「…私は君を尊敬しているし、信頼している。
もし、紳一郎が君を選び愛したのなら…きっと反対はしなかっただろう。君なら安心して紳一郎を任せられる。日本が住み辛いなら海外で一緒に暮らすことも出来るだろう。君には紳一郎を支える精神力も抱擁力も経済力もあるからだ」
公彦の話を最後まで聴き終え、青山は慈愛に満ちた眼差しで公彦を見つめた。
「…君はきっと優しい良い父親なのだろうな…」

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