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緑に睡る 〜運命の森〜
第2章 第二の男
ドアの向こうには、上質な仕立ての黒燕尾服姿の青山が佇んでいた。
背が高く上背があり胸板が厚い西洋人のような体躯の青山には、正装が良く似合っていた。
きちんと撫でつけられた黒髪が、一筋だけ額に落ちているのが成熟した大人の男の色香を醸し出し、精悍に整った優雅な自信に満ちた貌は観るものを押し黙らせ、ひれ伏させるような威厳と気品に満ちたものだ。
紳一郎は思わず見惚れてしまい、そんな自分を戒めるように表情を硬くすると、愛想のない声で尋ねた。

「…何かご用ですか?」
冷たい物言いを気にもせず、人懐こい笑顔を浮かべる。
「勉強は終わった?」
「…はい…」
「私の居間で一杯やらないか?…とっておきのヴーヴクリコがあるんだ」
「僕は未成年ですよ?」
つんけんした声を出すと
「では私がショコラを淹れてあげよう。私が淹れるショコラを呑んだら、他ではもう呑めないほどに旨いんだ。
あまりに評判が良いから、カフェの店主に転職しようかと真剣に考えたほどだよ」
戯けたような口調につられ、つい苦笑してしまう。
「…そんな…僕はショコラで喜ぶ子どもじゃありません」
…でも…と続ける。
「…折角ですから一杯だけお付き合いします」
そう告げると、青山はまるで子どものように無邪気な笑顔を見せた。
「良かった。じゃあ君の気が変わらない内に行こう」
温かい手に背中を押され、紳一郎は廊下を歩き出す。

…なぜだろう。
紳一郎はふと思った。
青山は警戒しなくてはならない人物だと分かっているのに、つい心を許してしまいそうになるような不思議な魅力に満ちているのだ。
そんな自分の考えを振り払うように、頭を振る。

…一杯だけだ。
シャンパンを一杯だけ呑んだら、さっさと部屋に引き上げる。
紳一郎は自分にそう誓い、青山のすらりと高い後ろ姿を見つめながら歩くのだった。
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