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緑に睡る 〜運命の森〜
第2章 第二の男
「そんなことを言ったのか⁉︎」
その夜、十市の小屋で青山の話を聞いた紳一郎は驚きと怒りの余り、その白い頬を紅潮させ絶句した。
十市は紳一郎の為にホットワインを淹れてやりながら、落ち着いた声で返事をした。
「…貴族の旦那が考えることは俺には分かりません。
…冗談だとは思いますが…」
「冗談だとしても悪趣味すぎる‼︎…全く!何を考えているんだ、あの人は!」
机を拳で叩き、珍しく激しく憤る紳一郎に十市は眼を見張った。
普段の紳一郎の感情の起伏は平坦だ。
怒りもだが、感情を露わにすることは殆どない。
大抵はその美しい貌に冷笑を浮かべるか、形の良い眉根を寄せるのみだ。
だから紳一郎の怒りのエネルギーに、十市は驚いた。
「なぜあの人と僕らが三人で愛し合わなくてはならないのだ。悪戯けにもほどがある!」
尚も白い拳を叩きつける紳一郎の手を、十市は優しく握りしめた。
「…やめてください。坊ちゃん。綺麗な手に傷がつく」
紳一郎は椅子から立ち上がり、十市に抱きついた。
「…十市…!僕にはお前だけだ。お前以外の男に身を委ねるなんて…考えたこともない」
…と、青山の高価なシャンパンの薫りの唇が脳裏をよぎり…あまつさえそれは甘くずきりと胸を刺した。
紳一郎は慌てて、首を振る。
「…十市…。抱いて…」
「…坊ちゃん…。昨日したばかりだから…続けてはあんたの身体が辛いだろう…」
やんわりと押し戻そうとする十市の逞しい首筋に腕を絡め、引き寄せる。
ひび割れた唇に柔らかな唇を押し付ける。
「…抱いて…。壊れてもいいから…!」
甘い吐息まじりで囁かれ、十市は唸るように紳一郎の唇を奪う。
「…十市…離さないで…」
…誰にも渡さないで…と、掠れた声が懇願するのを十市は熱く激しいくちづけで封じる。
「…ああ…。あんたは俺のものだ…。誰にも渡さない…!」
そのまま床に押し倒され、逞しい男の身体に組み敷かれる。
男の荒々しくも巧みな愛撫を全身に受け、紳一郎は淫らな欲望の炎が次第に灯されるのを、安堵と陶酔の気持ちで受け止めるのだった。
その夜、十市の小屋で青山の話を聞いた紳一郎は驚きと怒りの余り、その白い頬を紅潮させ絶句した。
十市は紳一郎の為にホットワインを淹れてやりながら、落ち着いた声で返事をした。
「…貴族の旦那が考えることは俺には分かりません。
…冗談だとは思いますが…」
「冗談だとしても悪趣味すぎる‼︎…全く!何を考えているんだ、あの人は!」
机を拳で叩き、珍しく激しく憤る紳一郎に十市は眼を見張った。
普段の紳一郎の感情の起伏は平坦だ。
怒りもだが、感情を露わにすることは殆どない。
大抵はその美しい貌に冷笑を浮かべるか、形の良い眉根を寄せるのみだ。
だから紳一郎の怒りのエネルギーに、十市は驚いた。
「なぜあの人と僕らが三人で愛し合わなくてはならないのだ。悪戯けにもほどがある!」
尚も白い拳を叩きつける紳一郎の手を、十市は優しく握りしめた。
「…やめてください。坊ちゃん。綺麗な手に傷がつく」
紳一郎は椅子から立ち上がり、十市に抱きついた。
「…十市…!僕にはお前だけだ。お前以外の男に身を委ねるなんて…考えたこともない」
…と、青山の高価なシャンパンの薫りの唇が脳裏をよぎり…あまつさえそれは甘くずきりと胸を刺した。
紳一郎は慌てて、首を振る。
「…十市…。抱いて…」
「…坊ちゃん…。昨日したばかりだから…続けてはあんたの身体が辛いだろう…」
やんわりと押し戻そうとする十市の逞しい首筋に腕を絡め、引き寄せる。
ひび割れた唇に柔らかな唇を押し付ける。
「…抱いて…。壊れてもいいから…!」
甘い吐息まじりで囁かれ、十市は唸るように紳一郎の唇を奪う。
「…十市…離さないで…」
…誰にも渡さないで…と、掠れた声が懇願するのを十市は熱く激しいくちづけで封じる。
「…ああ…。あんたは俺のものだ…。誰にも渡さない…!」
そのまま床に押し倒され、逞しい男の身体に組み敷かれる。
男の荒々しくも巧みな愛撫を全身に受け、紳一郎は淫らな欲望の炎が次第に灯されるのを、安堵と陶酔の気持ちで受け止めるのだった。