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緑に睡る 〜運命の森〜
第2章 第二の男
「そうか。…それならば、私が君の恋の虜になってしまうのは道理という訳だね」
「史郎さん!」
「伊勢谷くん。紳一郎くんは同じ屋根の下で暮らしているというのに、ちっとも私に懐いてくれないのだよ。…けんもほろろとは正にこのことだ」
と、わざと嘆く振りをする。
紳一郎は表情を引き締めると、伊勢谷を見上げた。
「伊勢谷、済まないが少しここを外していいかな。
…僕は史郎さんと大切な話があるんだ」
伊勢谷は二つ返事で了解し、提案した。
「東翼の小客間を使い給え。キャビネットの酒は自由に飲んでくれ。どうせ親父の酒だ。
使用人たちには近づかないように申し送りをしておくよ」
「ありがとう。…では史郎さん。ご一緒に来ていただけますか?」
青山は芝居ががった様子で眉を大仰に上げ、胸に手を当てた。
「…仰せのままに。…氷の女王様」
紳一郎は形の良い眉を顰めながらも反論はせずに、広間を出ていき、その後を青山が美しい背中を見せながら付いていった。
伊勢谷は二人を見送りながら愉しげに笑い、シャンパンを呷った。
「…無事に帰れよ。紳一郎」
「史郎さん!」
「伊勢谷くん。紳一郎くんは同じ屋根の下で暮らしているというのに、ちっとも私に懐いてくれないのだよ。…けんもほろろとは正にこのことだ」
と、わざと嘆く振りをする。
紳一郎は表情を引き締めると、伊勢谷を見上げた。
「伊勢谷、済まないが少しここを外していいかな。
…僕は史郎さんと大切な話があるんだ」
伊勢谷は二つ返事で了解し、提案した。
「東翼の小客間を使い給え。キャビネットの酒は自由に飲んでくれ。どうせ親父の酒だ。
使用人たちには近づかないように申し送りをしておくよ」
「ありがとう。…では史郎さん。ご一緒に来ていただけますか?」
青山は芝居ががった様子で眉を大仰に上げ、胸に手を当てた。
「…仰せのままに。…氷の女王様」
紳一郎は形の良い眉を顰めながらも反論はせずに、広間を出ていき、その後を青山が美しい背中を見せながら付いていった。
伊勢谷は二人を見送りながら愉しげに笑い、シャンパンを呷った。
「…無事に帰れよ。紳一郎」