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緑に睡る 〜運命の森〜
第2章 第二の男
…抗わなくては…と頭では分かっているのに、身体がまるで痺れるように動かない。
…いや、青山がもたらすくちづけの快感が身体中に漣のように押し寄せ、それが甘い蜜のように身体を覆い尽くすのだ。
「…だ…め…やめ…て…」
唇を震わせて喘ぐ。
青山は決して強引にくちづけしているわけではない。
柔らかく紳一郎を抱き、愛しむように唇を咥え、その肉厚な舌を紳一郎のそれに絡め、甘い唾液を優しく貪るように吸う。
十市のくちづけはいつも荒々しく情熱的で…肉食動物が草食動物を喰い尽くすような激しいものだ。
それに慣らされている紳一郎には青山の滑らかで慰撫するようなくちづけが余りに甘やかで、温くぐずぐずと身体が融けるような快楽を齎すのだ。
初めての体験に紳一郎は切なく身悶えるしかない。
「…お願いです…やめてください…」
懸命に青山から逃れようとする紳一郎に、彼は穏やかに囁く。
「なぜ嫌がるの?…こんなに感じているのに…」
「…感じてなんかいません…離して…」
青山の腕を振り解こうとする紳一郎を柔らかく抱き留める。
「…感じるのが怖いの?」
「…怖い…?まさか…」
「…君は、快楽が怖いんだ。十市くん以外の人間に与えられる快楽を罪悪だと思っている」
紳一郎は潤んだ瞳で男を睨み付ける。
「当たり前でしょう…!僕はそんな不埒な人間ではありません!」
…母とは違う。
母みたいな人間にはならない。
紳一郎の心を見透かしたように答える。
「…蘭子さんは蘭子さんだ。君とは違う。…快楽を感じるのは悪いことではない。…君のように繊細で感じ易い身体を持っている美しい子が快楽に喘ぐ姿は、実に麗しい…。それを一人の人間のものと決めつけるのは、勿体無いことだと思わないか…?」
「…何を…仰っているんですか…」
青山の濃密なくちづけにより熟した果実のように紅く腫れた唇を爪先まで美しく整った指で愛撫される。
その指先から痺れるような甘美な悦楽を与えられ、紳一郎は息を乱す。
「…君を愛する二人の男に、同時に愛されたいと思わないか…?」
紳一郎は眼を見張る。
青山の貴族的な端麗な美貌が近づく。
…甘い吐息に優しい呪詛を絡められる幻覚すら、覚える。
男の絹のように艶やかな声は続く。
「…愛する二人の男に身も心も委ねてみるのだ…。そうすれば、君は今よりもっと自由になる…今よりもっと美しくなるのだよ…紳一郎くん」
…いや、青山がもたらすくちづけの快感が身体中に漣のように押し寄せ、それが甘い蜜のように身体を覆い尽くすのだ。
「…だ…め…やめ…て…」
唇を震わせて喘ぐ。
青山は決して強引にくちづけしているわけではない。
柔らかく紳一郎を抱き、愛しむように唇を咥え、その肉厚な舌を紳一郎のそれに絡め、甘い唾液を優しく貪るように吸う。
十市のくちづけはいつも荒々しく情熱的で…肉食動物が草食動物を喰い尽くすような激しいものだ。
それに慣らされている紳一郎には青山の滑らかで慰撫するようなくちづけが余りに甘やかで、温くぐずぐずと身体が融けるような快楽を齎すのだ。
初めての体験に紳一郎は切なく身悶えるしかない。
「…お願いです…やめてください…」
懸命に青山から逃れようとする紳一郎に、彼は穏やかに囁く。
「なぜ嫌がるの?…こんなに感じているのに…」
「…感じてなんかいません…離して…」
青山の腕を振り解こうとする紳一郎を柔らかく抱き留める。
「…感じるのが怖いの?」
「…怖い…?まさか…」
「…君は、快楽が怖いんだ。十市くん以外の人間に与えられる快楽を罪悪だと思っている」
紳一郎は潤んだ瞳で男を睨み付ける。
「当たり前でしょう…!僕はそんな不埒な人間ではありません!」
…母とは違う。
母みたいな人間にはならない。
紳一郎の心を見透かしたように答える。
「…蘭子さんは蘭子さんだ。君とは違う。…快楽を感じるのは悪いことではない。…君のように繊細で感じ易い身体を持っている美しい子が快楽に喘ぐ姿は、実に麗しい…。それを一人の人間のものと決めつけるのは、勿体無いことだと思わないか…?」
「…何を…仰っているんですか…」
青山の濃密なくちづけにより熟した果実のように紅く腫れた唇を爪先まで美しく整った指で愛撫される。
その指先から痺れるような甘美な悦楽を与えられ、紳一郎は息を乱す。
「…君を愛する二人の男に、同時に愛されたいと思わないか…?」
紳一郎は眼を見張る。
青山の貴族的な端麗な美貌が近づく。
…甘い吐息に優しい呪詛を絡められる幻覚すら、覚える。
男の絹のように艶やかな声は続く。
「…愛する二人の男に身も心も委ねてみるのだ…。そうすれば、君は今よりもっと自由になる…今よりもっと美しくなるのだよ…紳一郎くん」