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Beloved
第4章 甘美な魅力
甘い、だけど歪な匂いに沙羅はゆっくりと目を覚ます。
「起きた?急に倒れるからびっくりしたな‥」
目が合った瞬間、沙羅は氷りついて動けない。
保健室にも関わらず、彼はベッドには寝かさずに
お姫様だっこでずっと沙羅を抱えていた。
「だれっ‥か…誰かきてぇ!!!」
沙羅は震えながら少年から逃れるように、叫ぶ。
「むだだよ。ほら、見てごらん」
彼が見る方向を目で追うと、保健室の先生や生徒達が眠っているかのように倒れ込んでいる。
沙羅は彼の腕から逃れるように暴れ、保健室のドアに走り出す。
ガチャガチャッ
「やだ!なんでッ!開かない‥!」
「むだだ。」
沙羅はこの儚くも美しく、恐ろしい声に手を止めた。
「僕がこの室内に魔法をかけてる。
だから君がここから出ることはできない」