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飴色トライアングル【完結】
第9章 まるで迷路…抜け出せなくて
「ねぇ英昭さん、その彼女ってどんな人だったの?」
「私と似てるんでしょ、どこが似てた?」
由美は次々に質問を投げ掛けてくる。
どこって──
由美の仕草や笑った顔が美緒に似てて、そう言った事があったかもしれない。
今思うとあたり前だな!
実の姉妹なんだから
「ねぇどこが似てたの?」
「う~ん、雰囲気とか…」
俺、美緒の笑顔が好きだったから!
無邪気に笑うとこや怒った顔も…
あの頃は美緒の全部が可愛くて好きだった。
明るくて誰にでも気さくに話し掛けるから男子生徒にも人気があって俺はいつもハラハラしてたっけ。
俺が卒業したら絶対男が寄ってくる…
心配で大学も地元に変えたほど
大学生になると俺にファンが寄ってくるって美緒は心配してたけど…
逆なんだよ!
美緒が誰かに取られるかもって俺が心配で仕方なかったんだから。
「まだ忘れられないの?その彼女の事」
「「……」」
ぇ、それは─
なんて答えていいのか分からなくて
言葉に詰まってしまった。
別れた当時の話を聞いてからますます頭から美緒が離れなくなったのは事実
だけど
(お願い、由美を裏切らないで)
美緒の言ったこの言葉が
いつも頭に残って身動きが取れない。
美緒が心配だし気にならないと言ったら嘘になる!
でも…
由美と付き合ってるわけだし、何も知らない由美を泣かせるような事はしてはいけないんだよな。
美緒には後悔と懺悔の気持ちはあるけど。
もう断ち切らなきゃ。
〝忘れられないの?その彼女の事〟
「そんな事ないよ…もう昔の事だから」
由美にはそう返事するしかなかった。