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飴色トライアングル【完結】
第9章 まるで迷路…抜け出せなくて
「あ、えっと美緒ちゃんの髪から雫が垂れてたから教えてあげたんだよ」
「……そ、うなの?」
うん
「…急いで出たから…英昭さんありがとう」
由美から眼を逸らし適当に返事を返したけど、何となくじっと私を見ているのが分かる。
「あ、俺…携帯忘れてた?サンキュー由美」
「…ぇ、う、うん」
雰囲気を察してヒデが由美に声を掛けて気を逸らしてくれた
「由美、旨かったよ。また作ってな」
「うん分かった!」
「──じゃ、俺帰るわ─お邪魔しました」
最後に一瞬だけヒデと眼が合ったけど話すわけにもいかないしヒデはそのまま帰っていった!
残された私は、やっぱり気まずくて─
由美から逃げるように部屋に入った。
「……//」
──◇◇◇
ドクンドクン─
ドアを閉めてその場にへたり込んだ!
由美、変に思ったかな?
「……」
ヒデの目があまりにも優しくて…
胸が苦しくなった。
いくら冷静を保とうとしても、あんなに近くで見つめられたら一瞬で気持ちが揺らいじゃう。
はぁ~!
膝を抱えて俯いた!
今の私は暗闇で迷子になった子供みたい
いくら歩いてもここから全然抜け出せないんだもん。
どうすればいい?
いい考えもなくただボンヤリと佇んでいた。
コンコン──
「お姉ちゃん、ちょっといい?」
ハッ!…え、由美が部屋の外から声を掛けてきた。
あ、う、うん!
なんだろ?
ガチャ─
「ごめんね、ちょっと話が…」え?─
由美の表情が強ばってて緊張してるのが分かった!
何を言われるの?
─もしかしてさっきの事?
「あの~、英昭さんとの事なんだけど…」