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飴色トライアングル【完結】
第11章 歩きだした美緒─ 応援してやらなきゃ。
「──あ!由美…ちょっと待ってて!…最後に美緒ちゃんに義弟として挨拶してくるよ」
最後に声だけ掛けて行こう。
足早に美緒に近づき小声で話し掛けた。
「─美緒今日はありがとう、仕事頑張れよ」
「…ぅん」
「─近いうち、両親に挨拶に行くよ」
「──そっか!うん」
「……//」
「──」
話したい事はたくさんあるのに
うまい言葉が出てこない。
「あの、美緒…何か困ったことがあったら」
「英昭さ~んまだ?」え?あ~!
まだほんの数分なのに
由美が車の中から叫んでる。
「すぐ行くよ~!」
「─ヒデ─もう行って」
分かってる。
「─じゃ、行くよ」コクン。
背中を向け歩き出した俺に美緒が声を掛けてくる。
「あ、ヒデ、アキさん」
ん?
どした?
「─由美の事、お願いね」
美緒が俺に頭を下げてくる。
そんな事するなよ寂しくなるから。
コクン!
「英昭さ~ん」はぁ~まったく!
後ろ髪を引かれるけど行かなきゃ。
車に乗りミラー越しに美緒を見つめた。
美緒!───元気でな。
美緒の姿を目に焼き付けながら、ゆっくり車を発進させた…
──//
無言のまま暫く車を走らせてると由美が明るく話し掛けてきた。
「さっき、お姉ちゃんとなに話してたの?」
「──なにって…挨拶だけど」
「挨拶だけ?」そうだよ…
「ふ~ん」
イライラしてるよう言い方
考え過ぎだろうか?
最近含みのある言い方をするような気がする…
疚しい気持ちがあるから気になるのかもしれないけど
「近いうちに由美の両親に挨拶に行きますって言ったんだけど…言わない方が良かった?」
由美は何て言うかな?