この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飴色トライアングル【完結】
第11章 歩きだした美緒─ 応援してやらなきゃ。
早く行かなきゃとは思うけど忙しくて…
それに両親の都合だってある。
うちの親は共働きだし由美の両親だってそうじゃなかった?…
まずは自分の仕事を調整してからだろ─
「え~えぇ!」
なんでそんなに急ぐわけ?
「何かあるの?」
「ぇ…別に何もないけど…じゃいいよ来週でも、来週は絶対ね」
都合つけるようにするけど
先に絶対って言われると…
そう思ったが、言い返してイライラされても困るし…ぐっと言葉を呑み込んだ。
「やっぱ先に風呂入ってくるよ」
ジャャャャャャャャャ……
はぁ~!
帰れば温かい食事もあって身の回りの世話を焼いてくれる。それなりに楽しくはあるんだけど…
時々虚しく思うのはなぜなんだろう。
一緒に暮らしてまだ2週間だぞ
こんな事でどうすんだよ。
余計な事を考えないようにしてきたけど
心から笑う事がこんなに難しいとは思いもしなかった。
そんなとき
ふと…美緒が頭に浮かんだ!
元気にしてるか?
俺が由美と笑い合ってる間、美緒は1人で何を思ってるんだろうか?
1人で泣いてなきゃいいけど…
あ~ダメだダメだ。
何を考えてんだ俺は
バシャッャャャャ──
心のモヤモヤを取り除こうとシャワーの温度を下げ頭から浴びた。
女々し過ぎる。
こんなんじゃ由美とお腹の子供が可哀想だ。
シャャャャャ──
冷めたシャワーが徐々に頭を冷やしてくれる!
由美に妊娠を聞かされて俺は覚悟を決めた。
一緒に暮らそうと由美をここへ呼んで漸く2人の生活に慣れ始めた所なんだから…
子供に恥ないような親にならなきゃ
自分に暗示を掛けるように心の中で何度も呟いた。