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飴色トライアングル【完結】
第11章 歩きだした美緒─ 応援してやらなきゃ。
「千秋ちゃん!美緒は会社に行ってないの?」
「──え、っと、その」
この時、自分でも信じられないくらいに興奮し美緒の後輩に迫っていた。
「あ、えっと、あ、私もう帰らなきゃ─」
「待って」
冗談じゃない、このまま帰られたんじゃ気になってしょうがない。
聞き出すまで帰ってもらっちゃ困るんだよ。
「千秋ちゃん頼む!美緒は今どうしてるの?」
何か知ってるなら教えて欲しい。
「え、っと…」
困ってるようだけど
暫く考えてポツリポツリ話し始めた。
「美緒先輩……会社辞めたんです、連絡しても返事もないし心配で、進藤さんなら何か知ってると思って」
辞めた?会社を…
連絡もつかないって!
何があった?…
もう居ても立ってもいられなくなった。
マンションにはいるんだろう?
確認しなきゃ─
ふらふら歩き出した俺に…
「進藤さん待って!─どこ行くんです?」
見て来なきゃ。
1人で泣いてるかもしれない!
「私がこんな事言うのも可笑しいんですけど…」
「美緒先輩とはもうムリなんでしょ?」
「……」
何も言い返せなかった。
もう結論は出てるんだから
「進藤さんは由美さんと結婚してパパになるんでしょ?─それなら、もう美緒先輩の事はそっとしていてあげて下さい」
「心配なのは分かりますけど、それって先輩には辛すぎます」
その言葉が胸に突き刺さる!
確かに彼女の言う通りだ。
俺はもう美緒の視界に入っちゃいけないんだ!
それが美緒のため…
─いや美緒だけじゃない、由美や子供のためでもあるんだから─
「……そ、うだね。ありがとう」
あ、これ!
俺の名刺─…渡しとくから持ってて。