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飴色トライアングル【完結】
第11章 歩きだした美緒─ 応援してやらなきゃ。
◇◇◇
…どこ行ったんだよ。

マンションを出て明かりの付かない部屋を見上げた。

余計な世話だって事は分かってるけど…
どうしてもあの娘の言葉が頭から離れなくて

(先輩は会社辞めたんです、連絡しても返事もないし…心配で)

会いに来たわけじゃい!
ただここにいるって事だけでも確認したくて
結局マンションまで来てしまった。

出掛けてるだけだよな?
きっと友達と会っててこれから帰って来るんだろ?


うん、そうだよ!俺の考え過ぎ。
心配する事じゃなかった。
さぁ、もう帰らなきゃ…由美が待ってる。

「……」
そう思って歩き出すんだけど─

帰って来るよな美緒!


まさか引っ越したんじゃないよな。
会社を辞めたのも何か別の理由があったんだろ?

あの娘が連絡が取れないって言ったのはきっと…
携帯が壊れてるとかで…心配することじゃない。

──だよな?美緒

ネガティブな考えは必死に打ち消した。


まったく人騒がせだな。
連絡くらいしてやれよ!
じゃなきゃ…俺だって、気になるだろ。

帰らなきゃいけないのに余計な心配させて

もう帰るぞ!
美緒が帰って来て鉢合わせしたら困るから

でも、どうしても後ろ髪を引かれる。
ゆっくり歩けばもしかして帰ってくるかもしれない…そう思うと自然と歩くスピードは遅くなる。

美緒…早く帰って来なきゃ帰っちゃうぞ…


って──はぁ~バカだ!
何やってんだ俺は。

都合のいい理由を考えて美緒を待ってる自分に呆れる

でも、せっかく来たんだし
もうちょっとだけ待ってようか?
美緒に見つからないようにして顔を見るだけ…

そうすれば、安心するから─

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