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飴色トライアングル【完結】
第13章 ドキドキが止まらない!
英昭の視線が私に向けられる。
口を開こうとしてるのが分かって、それを遮るように1人で喋って動き回った。
今、お財布にいくらあったかな?
出産の御祝いっていくらが相場なんだろ
えっと…
英昭に背中を向けバッグにあるお財布を確認する…
「美緒、俺さ─」あ、ちょっと待って。
やだ、2万円しか入ってない。
妹の子供だしこれじゃいくらなんでも
少ないよね!
ヒデに待っててもらってお金を下ろしに行って来ようか…うんそうしよう。
1回家を出れば気持ちも落ち着くだろうし
「美緒?─何してんの?」え!
英昭がわざわざ私の手元を覗き込んできた。
私は剥き出しのお金を握ったまま
「えっと…待ってて、お金下ろして来るから」
「なんで…」
「なんでって、出産とか…結婚の御祝い」
「いらないよそんなの」
いらないって事はないでしょ?
ヒデにあげるんじゃないから
これは甥っ子に─あ、姪っ子だっけ?
「美緒、そんなのいいから俺の話…聞いて」
いいよ分かってるってば
すぐ戻るから…
顔を逸らしこの場から離れようとしたのに─
英昭は私の腕を掴んで引き寄せてくる。
「ちょっと、なに?離して」
「美緒…俺…由美と別れたから」え?…
今、なんて言ったの?
「由美とは別れたんだ」
一瞬、時が止まったような気がした!
音かすべて遮断され、ヒデの言葉だけが頭の中を何度もリピートする。
やだ、やめてよ悪い冗談
「─//」
顔を上げると英昭が真剣な顔つきで私を見つめてる。
……冗談でしょ?え?
ホントなの?
待ってよ。何言ってるの!
別れたってどういう事…