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飴色トライアングル【完結】
第13章 ドキドキが止まらない!
咄嗟についた嘘が後で自分の首を絞めることになるなんて─この時は思いもしなかった。
美緒との事は昔の事だし忘れようって!
気にしないようにしてたけど
時々由美から美緒の話が出ると徐々に心が揺れるようになった。
俺が由美と付き合ってると知ったら─
美緒はどう思うだろうか?
驚くよな!
そう思ったら…
その顔をこの眼で見たいと思った。
ただの自己満足
この時の俺はどうかしてたんだ
何年も前のことなのに腹立たしい感情が沸き上がって…
美緒を困らせたい─
そんな気持ちがあったんだ。
だから
(由美、お姉さんに挨拶したいんだけど)
この時は、その後の事なんて何にも考えもしないで突っ走ってたよ。
再会して美緒の驚く顔を見てほくそ笑んでさ…
でも後になって自分のバカさ加減に落ち込んで…ホントに情けない。
裏切られた事がトラウマになって
最初から結婚はしないって由美を牽制して
結局由美を傷つける事になって…ホントごめん。
「英昭さんは、今でもお姉ちゃんが好きなの?」
「──いや、それは…ないよ」
正直、由美の質問に心が揺れた。
でも…もう由美を傷つけてはいけない!って…
そう思った。
たとえ、由美が妊娠してなくてもそれは同じ
「私、まだここにいてもいいの?」
不安げな表情をする由美に
ありったけの笑顔で返事を返した。
「……いいよ」
それからは何事もなかったように暮らしてたよ…
明るく振る舞って、無理やりテンション上げて
でも、どこかお互いに気を使ってたんだろうな
相手の顔色を伺って─言いたいことがあっても遠慮して言えなくなるんだよ。