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飴色トライアングル【完結】
第16章 彼のために出来ること
結局、どうでもいい話しか頭に浮かばないけど
それでもヒデが話を聞いてくれるから止まらなくなった。
「あ、それからね?」
〝うん…〟
会話の途中で
ふと、時計を眺めて気がついた。
あれ?─私、もう30分近く喋ってるよね?
「まだ着かないの?」
〝いやもう着いたよ〟
タクシーはとっくにマンションについてヒデは部屋に帰ってたみたい。
私がずっと喋ってたから言い出せなかったんだ。
ごめんなさい気がつかなくて
早く切らなきゃ
「ごめんね…お腹空いたでしょ?何か食べて」
名残惜しいけど…我慢しなきゃ!
「じゃ、またね」
「あ~じゃあな…」
私はいろいろ話せて良かったけど!
ヒデに悪い事しちゃったな。
──//
この日以降…
ヒデからの連絡は極端に減った。
こんな不況の中で大口契約を取れるチャンスなんだって。
それは聞いてるし私だって理解してるつもり…
だけど、たまには休みだってあるでしょ?
メールをする暇もない?
私の声を聞きたいとか─ヒデは思わないの?
短くても我慢するから返事くらい返してほしい。
なんて…我が儘かな?
「はぁ~!」
「美緒ちゃん、また溜め息ついて」ハッ!
いけない、またやっちゃった。
みどりさんに見られた。
「ち、違いますよ今のは…あくび、あくびです」
慌てて弁解するけど。
人前であくびなんて気が緩んでる証拠。
全然弁解にならなかった!
「美緒ちゃん、やっぱり…会いに行ったら?」
仕事の事は気にしなくていいって言うんだけど
そんな事出来ないよ。
「大丈夫だよ!連絡はそのうち来ると思うから」
ヒデだってきっと寂しいはずだもの