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飴色トライアングル【完結】
第17章 笑顔で…さようなら
◇◆◇
「みどりさんヒロシさん御世話になりました」
「ホントに行っちゃうの?今日はお別れの会をしようと思ってたのに」
ありがとう!
でもそんな事されたら泣いちゃうから。
それに寄る所があって、予定を1日早めて島を出ることにしたの。
落ち着いたら、遊びに来るからね。
「──やっぱり…連絡ないの?」
「うん、ないよ」
いいのもう。
ヒデの携帯の番号もアドレスも消しちゃったし取りたくても取れないようにしたんだ!
それに昔の写真もぜ~んぶ
もうホントに綺麗サッパリ捨てちゃった。
「美緒─ちゃん…」あ、やだみどりさん。
泣かないでよ?
そんなにしんみりされたら困るから。
最後なんだから、笑顔でお別れしようよ!
ボッボォォォ…
あ、もうすぐフェリーが来る。
行かなきゃ。
「じゃ行くね…みどりさん、ヒロシさん…お世話になりました」
振り返る度に大きく手を振ってくれる2人
その姿を忘れないように目に焼き付けた。
もう港は目の前
漁港におじさんの姿が見えた。
「おじさん!」
「おう、美緒ちゃん、なんだどこ行くんだ?」
私のキャリーバッグを見て不思議に思ったかも。
「今日帰るの」
「明日って言ってなかったか?」
うん、そうなんだけど変更したの…
また遊びに来るから、それまで元気でいてね!
「そうか、じゃ彼氏に宜しくな」
「……アハハ」ごめんね、それは伝えられないや
じゃね、おじさん
ボッボォォォ…
フェリーから小さくなる島を眺めていると…やっぱり涙が溢れてくる。
こんなふうに島を離れるのは辛いけどいつか心の底から笑える日が来たら御礼をいいに来るからね─