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飴色トライアングル【完結】
第17章 笑顔で…さようなら
そうだ!
「お土産は送るよ」
〝いいですよ~!わざわざ送るなんて、久しぶりなんだから会ってゆっくり話しましょうよ〟
それは、私も千秋には会いたいけど
実家に帰るなんて言ったらいろいろ聞かれるな、かといってお土産だけ渡しに行くのも─
〝でも進藤さんより先に私に会うなんて言ったら怒っちゃいますかね?〟
怒るもなにも─
ヒデとは終わっちゃったから心配することもないけど
お土産渡してどこかに泊まればいっか?
「分かった、じゃ、お土産楽しみにしてて」
は~い♪
──//
千秋の仕事が終わるのを待って、会うことになっていた。
けど…急な仕事が入って遅れるみたい。
〝ごめんなさい先輩、別の日にします?〟
別の日って…それじゃ私が困るの!
今日は泊まって明日は田舎に帰る事になってるし…
遅くてもいいから今日にしよ?
じゃなきゃ
わざわざここに来た意味がなくなっちゃう。
もっと早く分かってたら実家に直行したのに
仕方ない。適当に時間を潰そ…
大きなキャリーバッグを引きずって懐かしい町をぶらぶらしていた。
こんなに明るい場所は久々
島ではひとつ横道を入れば街頭も少ないし
風で揺れる木々の音と虫の声しか聞こえないから。
私─帰って来たんだね。
本当なら、ウキウキでここに戻った筈なのに
「はぁ~!」
あ、またやっちゃった。
無意識に出る溜め息─これじゃ幸せが逃げちゃう。
─なんて
溜め息つく前に幸せは逃げちゃったけど
ダメだな。
お腹が空くとネガティブな事ばかり考えて
でも、先に食べるわけにもいかないし
どうやって時間を潰すか考えていた。
ガラガラガラガラ