この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飴色トライアングル【完結】
第17章 笑顔で…さようなら
声の主は
大智さんだった。
男達から私を連れ出してくれた大智さん。
大智さんの横顔を眺めながら私は黙ってついて行くしかなかった。
暫く歩いて人通りが少ない所まで来ると…
「ここまで来れば大丈夫っしょ」
「大…智、さん」
私の名前が呼ばれた時…
一瞬ヒデが頭をよぎった。
男達から逃れられてホッとした反面
助けてくれた相手がヒデじゃなかったことにがっかりする自分がいる。
「美緒ちゃん見てるとハラハラするよ、俺があそこを通らなかったら、今頃…拐われてるよ」
!?拐うって、そんな─
大智さんの言葉を聞いて怖くなった。
グスン…
私の何がいけなかったの?
こんな人通りが多い場所で…何を気を付ければいいの?
グス─
「あ、美緒ちゃん、ごめん。言い過ぎた」
泣き出す私を見て大智さんが焦ってる。
でも、大智さんがいなかったら…
「ごめん、美緒ちゃんは悪くないから泣かないで」
必死に宥めようとする大智さん
コクコク─
ごめんなさい、泣いたりして。
「…でも良かった、間に合って」
「…あり、がと」
「美緒ちゃん、戻って来たんだね、そっか!それでか…」
大智さんの視線がキャリーバッグから私に移る
荷物の多さに全てを理解してくれたようだった。
「例の彼氏と上手くいったんだってね」
「──」あ、それは…
千秋に聞いたの?
でも、今はそうじゃなくなっちゃった。
「彼と待ち合わせ?」
ブンブン
「千秋とです、でも、遅く、なるみたいだから…どうしよう、かなっ、て」
「そっか!あ、美緒ちゃん食事は?」ブンブン
食事は千秋が来てから
「じゃ行こ」
え?…いや、待って、ちょっと!