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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…
「シャワー、浴びてくるね」
ひとりになりたくて、この場から離れようとした。
「あっ今日ね由美が帰って来るんだって」
え、そう!
じゃ賑やかになるね。
由美に会えるのは嬉しいけどちょっと複雑な気分になった。
私、うまく笑えるかな?
それと…きっとヒデの事を聞かれるな…お母さん達は何も知らないからヒデの話が出る前に話しておかなきゃ
なんて言うかな?由美は私達の事を知ったら
応援してもらったのに結局うまくいかなくて…
謝らなきゃ。
叔父さん達はまた由美の顔を見に来るのかな?
ますます私は居心地が悪くなる。
情けないね!
自分の実家なのに、こんなにも気が休まらないなんて思わなかった。
由美の顔を見たら早めに帰ろう。
あ!
なんて─
もう私には帰るとこは無かった。
気分が優れないまま
熱いシャワーを浴びて部屋に引きこもった。
部屋にいてもやることはないけど
両親と楽しく話す気分にもなれなかったから…
でも、ベッドに転がって
ただボンヤリするだけじゃ─何も変わらないな。
そうだ!
こっちにいる友達にでも連絡してみようか?
食事でもしながら話せば気晴らしになるかも
確か、あこそにあったよね!
使わなくなった勉強机の引出しを開け確認する
あ、あった。
それは─学生の頃に使っていたアドレス帳
パラパラとめくりながら連絡のつきそうな友達を探していた。
パラッ─ん?
アドレス帳から1枚の写真が床に落ちた。
…ぁ…これ
まだ残ってたんだ。
ヒデと私のツーショット。
泣いてる私の頭を抱き寄せてるとこ
ヒデの学生服にリボンが付いてるから
卒業式の時だ。