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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…
(美緒、いつまで泣いてんの?)
(グスン…だっ、って、もう先輩は、学校に来ない、んでしょ…)
卒業したんだから当たり前なのに
その現実が辛くて涙が止まらなかったあの日
(ほら、写真撮らなくていいのか?)
(…やだ、撮る、グスン)クスッ
私達の様子を見て…友達が撮ってくれた1枚
後でLINEに転送してくれたんだった。
持ってた写真は全て処分したのにここにはまだ残ってたんだ。
これもいずれ処分しなきゃ
バンッ…
〝ただいま~♪お母さ~ん〟
──//
ハッ!
写真を見つめ感慨に耽っていると、玄関から大きな声が聞こえてきた。
由美だ。帰って来たんだ─
我に返って慌てて写真を引出しにしまった。
別に慌てて隠す必要もないのに
なぜか焦ってドキドキする。
〝お母さ~ん♪お姉ちゃんは?〟
〝2階よ〟
由美の元気な声
2階にいるのに、由美の声があまりにも明るくて
自分とのテンションの違いに圧倒される。
幸せオーラ全開で帰って来たんだから私がこんなんじゃ申し訳ないね。
頑張って元気出さなきゃ!
由美の顔を見に行こうと立ち上がると
トントントントン
勢いよく階段を上がって来る音…
バンッ
「お姉ちゃん!」ヒヤッ!
急にドアが開いた。
「……ちょっと、びっくりするじゃない」
「お姉ちゃん、元気だった?」
元気だけど…
ぶつかったらどうするの?
「あのね由美、気をつけなきゃ「あ~、良かった!心配で急いで帰って来ちゃったよ」
私の言葉なんて聞いてやしない
それに…なにをそんなに心配することがあるの?
お母さんとの電話で私がここにいるのは知ってたでしょ?