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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…
そんなに慌てて帰って来なくてもいいのに…
「私に何か用でもあるの?」
「ぇ、そうじゃないけど…久しぶりだから」
それはそうだけど
それにしたって…
「お姉ちゃん今日なにか予定ある?」
「……今日?何も、ないけど、なんで?」
「ううん、何も無いならいいんだ」ウフフ
なにそれ─意味がわかんない
用事もないのになんで予定を聞くの?
それに随分嬉しそうだこと
それって幸せオーラのせい?
あ、そうだ!
「由美、結婚するんだってね、おめでとう」
「ありがとう。お姉ちゃんには今度紹介するからね」うん。
あ、それと…先に言っておかなきゃ
ヒデとの事を!
「由美…あの、私ね?」
「お姉ちゃん!私、着替えてきていい?」
え、あ、うん、もちろん
そっか由美は今帰って来たばかりだった。
じゃ、話は後でいいよ。
──//
なかなか由美に話すタイミングが見つからないまま、もう夕方になってしまった。
早く話さなきゃ
みんなでリビングにいると、いつヒデの話が出るかと気が気じゃない。
そうだ
由美を2階に呼び出そう。
「由美、あの…」
「美緒手伝っ手伝ってくれる?」
なんとか理由をつけて由美を誘いだそうしたのに、そんな時に限って母が声を掛けてくる。
え、手伝うって何を?
「そろそろ夕食の支度しなきゃ」
あ、う、うん!
はぁ~。またタイミングがずれた。
お母さんは手料理を振る舞うって張り切ってる…
私は由美より1日早く帰って来たせいで、今日は由美のために夕食の支度を手伝わされるらしい。
なんて…僻んでも始まらないけど。
仕方ない!
取りあえず今は手伝いが先だね。