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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…

ドクン、ドクン……心臓が大きく鼓動する

どうして?
逢いたくて逢いたくて堪らなかった人が
今、目の前にいる…
突然の事に声も出せずに立ち尽くしていた。

「美緒…」
ゆっくりヒデが近づいてくる。
「……」
これは、偶然だよね。
たまたま里帰りしてて、ここで誰かと待ち合わせでもしてたんでしょ?

それなら私がここにいたら邪魔になる。
早く消えなきゃ!
拳で胸を押さえ、大きく息を吐いた。

ふぅ~。
視線を逸らして横をすり抜けようとした。
「美緒…待って」
道を塞ぐように前に出られて足が止まった。

なに?─誰が来るんでしょ。
私と話してたら誤解されるよ?
面倒な事に巻き込まれたら迷惑だから

「どいて」
目の前のヒデを避けて先を急ごうとした。

「俺…美緒を待ってたんだ」え?
「美緒がここを通るからって由美が…」

由美が?それじゃさっきのは
(お姉ちゃん、ゆっくりでいいからね)
chouchou(シュシュ)のケーキが食べたいって言ったのは─お芝居だったの?

「美緒、俺…ずっと連絡しようと思ってたんだ…けどいろいろあって、あ、でも、やっと落ち着いたから」
何よ今頃
どんなに忙しくても連絡くらい…

ブンブン─もうやめよ!
過ぎた事はもういいよ。

「美緒に逢いたくて…」!?

なに言ってるの嘘ばっかり。
終わらせたかったんでしょ?
どこまでバカにすれば気が済むの

「いい加減にして、由美まで使って」

もう私に構わないで!グス…

「美緒待って!」
「来ないでっ」
ヒデが私の後を追い掛けてくる。

ガシッ…
「待って、話聞いて」

「離して、ほっといてよ」グス…

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