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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…
「なんで…」え?
バンッ…ウッ。
美緒の呟きと同時に勢いよく払い退けられた。
無言で俯いたままの美緒
やっぱり、もう無理か?
不安で堪らない!
こんな重い話をしたから引いたのかもしれない。
突然そんな話をされたら困るに決まってる…
心配になって美緒の顔を覗き見た。
「美緒?…ごめん、突然こんな話をして」
ブンブン─
美緒が大きく首を振った。
「バカっ!─」
うんごめん。
「なんで言ってくれたなかったの、そんな大事なこと…」
─!?え、美緒─
美緒が声を荒げた。
こんなに激しく声を上げる美緒は見たことがない。
けど…それって!
心配してくれたって事だよな。
「ご、ごめん。美緒に話せば心配すると思って」
いきなり倒れたなんて言ったら心配するだろ?
遠く離れてるからこそ余計な心配させないようにしなきゃって…あの時はそれしか頭になかったんだ。
でも、それは間違いだった!
その事に気付いた時にはもう─
美緒とはまったく連絡が取れなくなってて…
凄く後悔したんだ。
ちゃんと話しておけば良かったって!
「おばさん、もう大丈夫なんでしょ?」
「…あ…うん、ま~」
一瞬、躊躇した俺に美緒が畳み掛けてくる。
「…違うの?」
あ、いや、大丈夫なんだけど…
麻痺が残って─
「でも、リハビリでだいぶ良くなったんだ」
言葉は多少聞き取りにくいけど
頑張ってリハビリを続ければ普通の生活に戻れる可能性もあるからって言われてるし…
「そんな事になってたなんて知らなくて」
美緒がポツリと呟いた。
そんなのはいいんだよ…
俺が美緒に言わなかったんだから