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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…

「お袋が倒れてからずっと考えてたんだ…仕事辞めて実家に戻らなきゃなって」

どんなにお袋がリハビリを頑張ったとしても回復までには時間が掛かる
親父一人にお袋の面倒を見させるわけにはいかないな…俺、長男だし

美緒に連絡したいけど…
付いてきてほしいなんて言えないじゃん。

いくら慣れ親しんだ故郷でも
この土地で暮らすのは美緒には辛いんじゃないかって…忘れようとしても、思い出す事もあるだろうし…

そう思ったら、連絡出来なくて─


「…ヒ、デ、ごめんなさい私」
今にも泣きそうな顔して…
美緒は悪くないから、気にしないで欲しい。

それに…
「美緒、話は最後まで聞いて」

「でさ、それを親父に言ったら、怒鳴られたよ」
(俺を年より扱いするな)

(母さんの面倒は俺が見る… お前は自分の事だけ考えろ!じゃないと大切な物を失うぞ)ってね!


大切な物?…

〝俺の大切な物ってなんだろ?〟

仕事…それもあるけど
絶対に失いたくないのは…最初から決まってる!

やっぱりそれは美緒だ!

俺が美緒を護っていかなきゃ
美緒がこれからずっと笑っていられるように傍にいてあげなきゃいけないのに…

このままじゃ
また美緒を失うことになる。

ダメだ、それじゃ

美緒に話して…謝らなきゃ!
そう思ったんだ。

けど電話しても繋がらないし、焦ったよ。

それで最後の手段

千秋ちゃんや由美に連絡したんだ。
2人には散々怒られたよ。

〝これ以上、泣かせたら許さない〟って!
2人に頼み込んで漸く教えてもらったんだ。
美緒が実家に帰ってるって。

許してもらえるかは分からないけど…

美緒に会わなきゃ!

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