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飴色トライアングル【完結】
第1章 なんで今頃私の前に現れるの?
「ほんとに~?─だいたい先輩はですね─」
あ~始まっちゃった!
千秋の言いたいことは分かってるけど…
「あ~大変!遅れちゃう。千秋ごめんね…もう行かなきゃ、じゃお先に」
「え?あっ、先輩」
これ以上千秋と一緒にいたら面倒な事になりそう─
話を遮って小走りに先を急いだ。
エントランスを抜けようとすると─
後ろから千秋の声が聞こえてくる。
「ホントに妹さんと食事なんですかぁ~?」
振り向き様に
「ホントだって!じゃねバイバイ」
ごめん千秋、とにかく今は時間がないから話の続きはまた今度!
ヤバい、急がなきゃ!
余計なお喋りしてたらホントに時間がなくなっちゃった。
15分の電車に乗らなきゃ
この時間は仕事終わりのサラリーマンが一斉に動き出すから…追い越すのも一苦労なんだよね。
よし、今だ!
タイミングを計って一気に追い抜いた。
──//
プシュュュュ─
〝ふぅ~!良かった〟
なんとか電車に間に合った。
ドアの前で一息ついて額の汗を拭った!
私の隣には
頬を寄せ会って楽しそうにお喋りをする学生服姿のカップルがいる。
〝高校生かな、いいな若いって!〟
私にも、
こんな時があったのに
仲の良さそうな2人を見て、さっきの千秋の言葉が頭に浮かんできた!
(男の人に興味ないって可笑しくないですか?)
私って、そんなふうに見えてたんだ。
嫌な思い出か──
確かに、消したくても消えないキズがある。
もう7年も前の事なのに─
思い出すと辛くて苦しい思い出。
─ダメダメ、考えない!─
辛い過去を振り払うように私は首を大きく振った。