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飴色トライアングル【完結】
第5章 優しくなんて…しないで!
化粧室の前まで行くと電話してる男性がいた…
〝…着いたか?うん、今みんなと飲んでる〟
相手は彼女かな?
いいな羨ましい。
横をスリ抜けようとしたのに、ふらふらしてその男性にぶつかった!
ドンッ
「ごめんなさい」
「あ、いえ!…!?」
ん!ドキッ──ぇ
こんなことってある?
電話を掛けていたのは─
ヒデ!
「──」
「……ヒ、デ」
お互い固まって、暫く言葉が出なかった!
こんなとこで会うなんて
ヒデは携帯を持ったまま…まだ話の途中でしょ?
スマホから声が洩れてきた。
〝モシモシ、モシモシ…ドウシタノ?〟
「え、あ~ごめん!早めに帰るよ、じゃな由美」
ハッ!由美って!そっか──
電話の相手は由美だったんだ!
うん、それはそうだよね。
2人は付き合ってるんだから
飲みに来てもちゃんと連絡取って…
いい彼氏してるんだね!
なんだろ、また心がモヤモヤしてさっきまでの楽しい気分が一気に重くなった。
ヒデの顔を見るのが辛くて
そのまま化粧室に駆け込んだ。
はぁ~!
これが現実
やっぱりキツいな。
…全然前を向けないや!
鏡の前の私
凄く怖い顔してる。
ダメだなこんなんじゃ…
さっき割り切らなきゃって思ったとこじゃない
パンパン
軽く頬を叩いて気を引き締めた。
お化粧を直して口紅を差し精一杯の気合いを入れた。
フッ、さあ戻ろう!
ドアを開けると
そこにはもうヒデはいなくて─
良かった…のかな、ちょっと複雑
バカだな私ったら何を期待してるの!
もしかして、まだここにヒデがいたら…なんて
そんな事有るわけないのに