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飴色トライアングル【完結】
第5章 優しくなんて…しないで!

「待てよ、送ってくから─」
歩き出した私を追い掛けて、ヒデが腕を掴んでくる。
やだ、やめて。
離して…

そんなに由美が心配なら飲んでないで一緒いてあげればいいじゃない。

グスッ…もう、私の事は構わないでよ。

中途半端に優しくされたら…
辛くなる!

「どうしたんだよ」
「離して」

バッ…キャッ、ズズッ─
腕を勢いよく振り払って躓いた。

グス…ヒックヒック
痛みと情けなさで、
ダメだ、また涙で目が霞む…

「だから言っただろ、危ないって」

「立てるか?」
私を立たせようとヒデが肩を抱き寄せてきた。


「…彼女がいるんだから、簡単にそんな事しない方がいいよ」


「は?─そんな事って、なに?」

「優しくしたり…」
人を誤解させるような事はしないで

「別に優しくしたつもりはないけど、由美の姉貴だから」

「だから、それが大きなお世話なの、グスッ…人の気も知らないで」

私の心を振り回さないで

「どういう事だよ?言いたいことがあるならハッキリ言えばいいだろ」

ヒデの口調も激しくなった。
今更、何か言ったこところでどうにもならないよ。

「私の事はほっといていいから…気にしないでよ」
「ほっとけるか!いい加減にしろ」

ビクッ─なんでよ!

もうやだよ。
グスッ…ヒックヒック

まだ人通りの多い路上
地べたに座って泣き続ける酔っ払いの女なんて見苦しいけど─
ヒデがそんな私を見て呆れて離れてくれるなら

それでもいいと思った!

なのに…

ヒデは私の様子をずっと見てる─

時々、通りがかりの人が声を掛けてくるのを制したり威嚇までして…

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