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飴色トライアングル【完結】
第1章 なんで今頃私の前に現れるの?
◇◆◇
急いで指定されたお店に来たのに─
由美はまだ来てなかった!
もう、由美ったら!
〝遅れるな〟って人に言っておきながら自分が遅れて来るってどういう事?
ひとり個室に通された私は
部屋の中をぐるりと見廻した。
個室のあるお洒落な居酒屋
雰囲気も良く、なにより煩くないのが嬉しいけど…
ここって高いんじゃないの?
田舎から出て来て数ヵ月の妹がこんなお店を知ってる事に驚いた。
由美、遅いな~!
お腹空いちゃったよ。
仕事が終わらないのかな…
忙しいなら無理に外食なんてしなくても良かったのに
何でわざわざ?
──//
仕事中に掛かってきた1本の電話
♪…♪♪…
ん?あれ由美から…
どうしたんだろう?
ピッ(由美?どうしたの?)
(お姉ちゃん今日外で食事しない?)
それはいいけど
どうした風の吹き回し?
私が奢ることはあっても奢られる事なんて初めてだけど…
もしかして
ご飯をご馳走した後でお願いがある……
なんてことないでしょうね!
ここは先手を打って
(私、お金ないわよ)
両親たっての希望で由美と同居する事になったから─広い部屋に引っ越したばかり
お金に余裕なんてないんだから。
(やだ、違うったら…たまにはいいじゃない!とにかくもう予約はしてあるから遅れないでよ、じゃ後でね)
(あ、ちょっと─)
なによ私に連絡する前に予約してあるんじゃない。
都合が悪かったらどうするつもりだったの?
──//
はぁ~由美まだ~?
電話してみようかな?─
バックから携帯を出そうとすると、個室の外から聞きなれた声が聞こえてきた…