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飴色トライアングル【完結】
第8章 俺─ずっと後悔してたんだ
「ごめんなさい、今日は─」
「あ、そうだよね…いくらなんでも急過ぎた、ごめん、またにするよ」
ごめんなさい─
せっかく誘ってくれたけど
楽しい気分にはなれそうにもなくて
断っちゃった!
「気を悪くしたかな?」
「大丈夫ですよ大智さんなら…それより先輩、今日は帰って休んだ方がいいですよ」
「うん…そうする」
──
「お先に─」
同僚達に声を掛け会社を出ると…小雨が降っていた。
…雨?今日、雨の予報だっけ?─
傘、持ってないよ!
仕方ない。
このくらいの雨なら…
大丈夫でしょ?そう思って歩き出した。
もう由美は帰ってるだろうか?
昨夜あんな姿を見せちゃって
可笑しいと思ってるんじゃないかな?
今朝も気まずくて、ろくな会話もなしに家を出たから心配してるよね!
しかもヒデに連れられて帰って来たんだから…
はぁ~!
由美に聞かれたらなんて言おう。
小雨に打たれながら言い訳ばかりを考えていた。
ヒデは由美に何て言ったんだろう
気にはなるけど
連絡先も知らないし…
──あ!
そういえば──
携帯を取り出し連絡先をスクロールする。
もしかして…まだ残ってるかも
えっと─
あ、あった!
ヒデ──060‐0020‐0700
消せなくて、そのままだったヒデの電話番号
7年も前の番号だから…きっともう変わってるだろうけど…
思い出すと辛いのに、メールも写メも消せなくて
ずっとそのまま
別れた頃は、それを見るたびに泣いてたっけ!
バカだね、そんなんだからいつまで経っても忘れられないんじゃない。
もう…いい加減
眼を覚まさなきゃ