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飴色トライアングル【完結】
第1章 なんで今頃私の前に現れるの?
え?
付き合ってる?──由美とヒデが?…
「…ウフフ、ね?英昭さん」
うそ!
一瞬頭が真っ白になった。
この現実を理解しようと必死に頭を働かせるのに─
言葉が出てこない。
優しい笑顔で妹を見つめるヒデの姿を
私は暫くボーッと眺めていた!
2人を見つめたままの私にヒデが話し掛けてきた。
「初めまして進藤です」
「……ぇ」
淡々と挨拶するヒデは
どこか冷めた表情で私に笑い掛けてくる。
─!?初めまして?
私の事、わからないの?
それとも私との過去を消したいって事?
そう思ったら堪らなく悲しくなった。
…そうだよね、私がいけないんだもの
一瞬でも、ヒデから懐かしむ言葉が聞けるんじゃないかと勝手に思った自分が惨めになった!
あの時のヒデの気持ちを考えたら…
それは当然
私には─昔を懐かしむ権利はないね!
「お姉ちゃん、英昭さんに挨拶してよ」
え、あ、うん、ごめん…
しっかりしなきゃ
じゃないと由美が変に思う。
動揺を悟られないように必死に感情を抑え
無理やり笑顔を作って返事を返す。
「こ、こんばんは…姉の「美・緒」ドキッ
「美緒!─ちゃん、だよね?」
ドキドキ
今、私の名前を……
やっぱりヒデは私に気付いてるはず。
何をしたいの?
これは偶然?
それとも…
「由美からお姉さんの話はよく聞いてるから」
「─あ、そ、そう、ですか」
ヒデの顔を直視出来なくて俯きながら返事を返した
なのに─
私を試すかのように顔を覗き込んだりして…
グッ…
ヒデの態度に戸惑う。
私はどんな顔をしてればいいの。