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飴色トライアングル【完結】
第9章 まるで迷路…抜け出せなくて
…ぁ…ぅん、グスッ…アハハ
「それ、なんの写真?見せて」あ、ダメ!
ヒデの写真を見られたら困る!
早く拾わなきゃ!
床に這いつくばり写真を集める私に、由美が手伝おうと手を伸ばしてきた。
とっても有難いけど…それはダメ!
「由美!いいよ、私がやるから…」
「──手伝ってあげるよ」
「やめて!」──ぇ!?
あ──ごめん、
急に大声を出したから由美が驚いてる。
これじゃ見せたくないって言ってるようなもの
感じ、悪かったね、ごめん。
でも、いいよ自分で片付けるから…
「由美?私に用事があったんじゃないの?」
写真を段ボールに押し込みながら
なるべく明るく声を掛けた。
え、あ、うん─
「味見してもらおうと思ったんだけど」
味見?
由美が食事を作ってくれてたんだ。
うんいいよ!
「行こ」
目尻に溜まった涙を拭いながら部屋を抜け出した。
──//
グスッ…元気出して明るくしてなきゃ。
「どれどれ、あ!美味しそうじゃない」
ゴクン─うん、いいんじゃない!
よく味も染みてるし
「美味しいよ」!?…あれ、由美?
後ろにいると思ったのに振り返ると由美がいない。
あ、来た!
やだどこにいたの?
「由美、美味しいよ」
「……そぅ…」
ん!? …なに、どうしたの?
さっきまで元気に喋ってたのに急に喋らなくなるし何だか重苦しい雰囲気が漂ってる!
「お姉ちゃん、あの─」
なに?─ん?
「─えっと、ううん、やっぱいいや…」
なによ!
言い掛けた言葉を呑み込みいそいそと食事の支度を始める由美に何となく違和感を覚えた。