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第15章 重いから…

すぐに佐伯さんが席を立ち上がるとお店から出て行った。

そんな仕事の話しは私にはさっぱりわからない話しだ。ふと私が顔を上げたら前に１度エステで見た覚えがある女の人が凄く怖い顔で私を睨んだ。

一瞬、私は怯えてしまった。知らない人にそんな顔をされた事は私には生まれて初めての事だ。

私の表情ですぐに気付いたママさんが

『佳代ちゃん、お客様を待たせないで。』

と言ってその女の人を追い払った。

なるほど…、優誠はこんなお店の綺麗な女の人達と何人か付き合っていたのか…。

私はそんな事をぼんやりと考える。優誠は全然、お構いなしに私の肩を抱い私の頭にキスしたまま良二さんと仕事の話しを続けた。

その途中で戻って来た佐伯さんが

『黒田の叔父貴が代わってくれって言っている。』

と言って優誠に携帯を渡したから優誠はその携帯を持ってお店の外に出て行った。１人にされてしまった私にママさんが

『社長さんはええ子を見つけはったなぁ。』

と言って来た。

『？』

ママさんは言葉の意味がわからない私だった。ママさんが笑いながら

『仕事をする男の会話に余計な口を挟まんのはええ女の証拠ですよ。』

と言ってくれた。

なるほど…、単に話しについていけないだけの私を周りの人は勝手にいい女だと勘違いするんだ。

と私は理解をした。優誠が戻って来て

『黒田の叔父貴が今夜中に小物をどやすらしいから月曜にでも検査を入れろよ。』

と良二さんに言った。後は適当に皆が呑んでいる感じだ。優誠が

『俺らは先帰るぞ。』

と言ったら良二さんが優誠に向かって手をヒラヒラとさせるだけだった。優誠と私がお店の外に出たらママさんが私に

『また、いらしてくださいね。』

と言ってくれた。私は結城さんが運転をする車に乗ってから優誠に

『佐伯さん達は放っておいてもいいの？』

と聞いてみた。優誠は少し嫌な顔をして

『あいつらはあの店に閉店まで居てアフターをする気なんだよ。』

と答えて来る。

アフター？なんだそれ？シアターは映画…、アフターは後でって意味で…。

と私は考え始めてしまう。優誠は呆れて

『だから、さっき付いてた女を口説いて女が合意したら持って帰るんだよ。』

と言って来た。