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一秒に見えた世界
第21章 格が違う…
テーマパークの中に入ってから屋台で売っていたキャラメルポップコーンを私と空は買いに行く。入れ物になっているキャラクターのケースがとにかく可愛いかった。だけど電光掲示板を見ていた由良が

『2時間待ちとかになっているよ。』

と叫んでいた。でもやっぱり佐伯さんが

『俺ら優先扱いだからそれは関係がないよ。』

と由良に答えた。今朝の適当でも力でカバーするって言ってた佐伯さんの言葉の意味が私には段々とわかって来た。

私が適当にのんびりとしていても困らないようにしてくれるだけの力が優誠や佐伯さんにはあるんだと初めて私は理解をした。

いざ行動となると由良と美鈴はやたらと過激系のアトラクションに乗りたがる。私はこの絶叫系とかがとにかく嫌いだ。空が

『他のにしようよ。』

と言っても美鈴は意地悪な顔で

『せっかくの優先なんだから人気の高いのから乗った方がいいよ。』

と言うだけだ。とりあえず1つ目の絶叫系は恐竜にさらわれたという設定のいわゆるジェットコースター。安全ベルトを付けられてジェットコースターが走り出すと私はひたすら目を閉じる。

小さな私はぶんぶんと振り回されて気持ちが悪くなった。2つ目に行こうと美鈴が言った時に優誠が

『俺と美奈は行かない。』

と言い出した。由良が優誠に

『なんで?せっかく皆で来ているのに。』

と言った。

優誠は由良を鼻で笑うようにして

『俺は君らの為に来たわけじゃないからな。悪いけれど美奈がここに居なければ今回の優待の手続きもしていないよ。』

と答えた。由良の可愛い顔が歪んだ瞬間、由良の彼氏が由良に

『それぞれ好みが違うんだからお昼までは別行動でよくないか?』

と言った。結局は私と空、由良と美鈴のグループに別れた。優誠は水のショーがあるステージなら私が気持ち悪くはならないからと言って連れて行ってくれた。

パークの中を歩いていたら私達の前を歩いていた空と佐伯さんが手を繋いでいた。

もしかして?

と私は考えてしまう。私は優誠に

『佐伯さんって彼女は居るの?』

と聞いてみた。優誠が少し厳しい顔で

『佐伯の場合は俺よりも立場が難しいからな。もし好きな女が出来てもその女が佐伯の状況に我慢が出来るかがまずは問題だ。』

と言った。
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