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第22章 就職するの？

ただ無表情な優誠が私に紹介する時に

『俺を産んだ人。』

となんだか冷たい言い方をした。優誠のママはとても寂しそうな顔で

『初めまして優誠の母です。私の事は晴美と呼んで下さいね。』

と私に言って来た。私は慌てて

『初めまして美奈です。えっと…、晴美ママ…、じゃなくて…、晴美お義母さん、よろしくお願いします。』

と言った。でも優誠のママは

『ごめんなさい、お義母さんは御剣の本家の奥さんだから私はただの晴美でいいのよ。』

と私に言い出した。

ああ…、そうだった。優誠は今は御剣パパの子になっているからお義母さんは御剣パパの奥さんなんだ…。

私は本当にややこしいなとか思った。だけど晴美さんは優誠のママには違いないよねとも私は思う。だから私は

『じゃあ、晴美ママって呼びますね。』

と答えた。晴美ママは少し嬉しそうだったけれどすぐに優誠が

『これ、今月分と来月分。来月は俺は忙しいからいちいち会ってらんねぇからな。』

とぶっきらぼうに言うと晴美ママに分厚く膨らんだ銀行の封筒を渡した。晴美ママはまた寂しそうに

『そう…。』

とだけ言って封筒をバッグにしまってから

『とにかくお昼ご飯を食べましょう。』

と私に作ったような笑顔で言って来た。食事の間は晴美ママから私と優誠への質問が多かった。今はまだ学生なのか？とか優誠は結婚までを考えているのか？とかの質問だ。優誠は

『来年、婚約だけは済ませるけど１年は美奈を自由にさせる約束だから結婚は再来年になる。』

と無愛想な感じで晴美ママに説明をした。晴美ママは私に

『１年間？何をするの？』

と聞いて来る。私は

『社会勉強の為に就職をするんです。』

と答えた。だけど晴美ママは驚いたように

『就職するの？』

とまた私には質問だ。優誠が

『美奈の好きにさせる約束だからな。周りがとやかく言うのは止めてくれるか？』

と晴美ママにまた冷たく言った。だから晴美ママが慌てて

『ごめんね…。もう聞かないから…。』

と言った後はずっと無言のままだった。