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一秒に見えた世界
第9章 バイトじゃない気がする
ずっと泣いていた私が落ち着いて来た頃に優誠が私のおデコにキスをしてから

『大丈夫か?』

って聞いて来た。私は

『ちょっとお腹が痛い。』

って答えた。優誠は心配した顔で

『なら、来週はバイトを休むか?』

と言い出した。私は慌てて

『それは、ダメ!!』

って叫んだ。きっと私は短大を卒業したら就職するか優誠と結婚する。そのどちらを選んだとしてもたかが生理で逃げ出すような社会人にはなってはいけないのだって今の私にはちゃんとわかっていた。優誠が

『美奈の好きにしろ。お前の未来はお前が掴め。』

と言った。

え?その言葉…、聞いた事ある。

私は必死に考えていた。私は優誠の言葉を確かに聞き覚えがあった。

『そんなに就職がしたいのか?』

『だって就職しないと短大から後の未来は誰も私に教えてくれなかったんだもん。』

『自分の未来は自分で掴めよ。』

『じゃあ、お兄さんが私の未来になってよ。お兄さんの会社になら私、永久就職するから。』

そんな優誠との会話を思い出した。酔っ払って初めて優誠の部屋に来た私は優誠とそんな会話をしてから私は確かに自分から優誠にキスをした。

あの時の私は間違いなく就活の枠を超えた永久就職という恥ずかしいプロポーズを自分からしていたのだ。

全てを思い出したら私は急に自分の顔が赤くなるのがわかっちゃった。

『うひゃー!!』

と叫ぶ私に優誠が目を見開いて

『なんだ?』

と聞いて来る。

『思い出したから…。』

『何を?』

『初めてここに来た時に私が優誠にした事…。』

私の言葉に優誠がクスクスと笑い出した。

『笑わないでよ。』

私は恥ずかしくて泣きそうになる。優誠はあんな馬鹿な就活をした私に優しくしてくれたんだと今更に私にはわかったからだ。優誠はニヤリとして

『俺が美奈の未来になるんだろ?』

といつもの意地悪で言って来る。私は開き直って

『そうだよ。優誠が私の未来の会社になるんだよ。』

と言って優誠にキスをした。優誠は私のキスを受け入れて優誠の舌が私の舌を弄んでいた。優誠の濃厚なキスが気持ちよくて私はお腹が痛いのも忘れていた。

その日は夕食に優誠がお寿司の出前を取ってくれた。私はずっと優しい優誠にべったりだった。
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